堕とされた母 ⑪

……最前、佐知子が口にした、裕樹の“成長”は、なにやら弁解がましかったり、あまり信用できない評価であったが。
しかし、確かに裕樹は、そのような時期にあり、ゆっくりとではあっても、日々、育っているのだ。いろいろな部分が…たとえば、牡としての本能が。
これまで、裕樹にとっては相姦という禁忌の行為も母に甘えることの延長でしかなかった。
しゃぶりつく乳房の甘味も、拙いセックスの快美も、すべてが、母を求め、母から与えられるものを貪る、ということだった。
しかし、いま、裕樹の中に、ようやく育ちはじめた牡は、目の前の豊艶な肉体を別の情感を持って見つめる。
女。熟れた豊満な肢体の。欲望をそそる女。
それは、“大好きなママ”であることと、少しも相反しない。
(……そう。ママは、綺麗で、色っぽくて……)
……息子の、これまでとは違った熱い視線にも気づかないのか。
佐知子は、一心に、その美しい体を磨きたてている。
母子の気安さか、その動きには遠慮がなくて。
腰かけに乗せた豊臀を片側づつ浮かせては、スポンジを這わせた。
その無防備なしぐさ、たわむ臀肉、深い切れこみの奥にチラリと覗けた暗い淫裂。
「……………」
裕樹は固い唾を呑み下すと、湯を弾きながら立ち上がった。
「……裕樹?」 気配に、佐知子が振り向く。
「背中、流してあげるよ、ママ」
「え、そう? ありがと…」
妙に固い裕樹の声に違和感を覚えながらも、臀を磨いていた手を後ろにまわして、スポンジを渡そうとする佐知子だったが。
自分から申し出ておきながら、裕樹はそれを受け取ろうともせずに。
いきなり、佐知子の背に抱きついていった。
「キャッ、ちょ、裕樹?」
「……ママ…」
昂ぶりに掠れた声で呼んで、裕樹は佐知子の腋からまわした腕に力をこめる。
これでは、浴室に闖入してきた時と同じである。立っているか座っているかの違いだけで。芸がない、ともいえる。
たとえば……ひとまずは、母からボディ・スポンジを受け取って、だ。
言ったとおりに、背中を流してあげながら、さりげなく身体に触れて。
『あ、手がすべっちゃった』なんてことをヌカしながら、徐々に戯れかかっていくというような遣り口は……。
まあ、裕樹には望むべくもない。考えもしない。
ただ、ひしと母にしがみついて、うなじに頬を擦りつける。
「ちょっと、裕樹ったら」
困惑する佐知子が体を前に倒すと、背中に貼りついた裕樹は、母の上にのしかかるような体勢になって。小ぶりな勃起の先端が、石鹸の泡をつけた母の臀肌に滑った。
「アッア…ママッ…」
刺激にあえいで。しかし、こんな体勢になっても、裕樹は、このまま強引に欲望を果たそうなどとはしない。
母に許され迎えられるかたちでしか繋がることが出来ない。
その身の内の“牡”を育てつつあるとは言っても、所詮は、その程度だった。
「…あっ…」 臀肌にあたる硬い感触に、佐知子は、息子の欲求を理解した。
「…まだ、したいの?」 首をねじって、間近にある裕樹の顔を見ながら訊いた。
少し驚いたような表情は、やはり裕樹の常にない欲望の強さが意外だったのだろう。
「したいよ。さっきは、ちゃんとしてないし」
ちゃんともなにも、軽く手コキされただけで暴発してしまったわけだが。
裕樹は完全に復活したペニスを、母の柔らかな臀肉に押しつけて、情交をねだった。
「……いいわ」 佐知子は、うなずいた。
「でも、ここじゃダメよ。ママの部屋にいきましょう」
タイミングがよかった、といえるだろう。裕樹にとっては。
長い無沙汰に我慢できずに、入浴中のママを襲撃したのが、この日であったことは。
この日の佐知子には、裕樹の求めに応えるだけの余力があった。
この昼間は、高本と市村の病室への来訪があったために、佐知子は一度も達也に抱かれていなかった。午前中に軽く戯れた(口舌に達也の肉体を味わって精を飲んだ)だけで、午後は、高本らが結局夕方まで居座ったために、ほとんど病室に近寄ることも出来なかった。
これが一日早ければ、昼の達也との激しい情事にグッタリと疲弊した佐知子は、とても裕樹の求めに応えるどころではなくて、すげなく追い返していただろう。
そして、一日遅ければ。やはり裕樹は拒まれることになったのだが。大きな状況の変化と、やはり決定的に変わってしまう佐知子の心情によって……。
無論、そんな事情は知らず、だから、自分がピンポイントで好機を掴んだことも知らないままに。欲望に逸る裕樹は、バスタオルを巻きつけただけの母の身体を押すようにして急きたてながら、寝室へと入った。
「もう…そんなに慌てなくたって…」
佐知子の呆れ顔にもかまわず。こちらはタオルも巻かず、スッポンポンのまま風呂場からやって来た裕樹は、母のベッドに飛びのって、
「ママ、はやくっ」 幼い勃起をふりたてて、母を招いた。
やれやれと微かに苦笑して。
佐知子は身体に巻いたタオルを外した。髪を束ねたタオルも取る。
濡れた黒髪も艶やかに、爛熟の肢体を、いつもよりは明るい照明の下にさらして。
しかし佐知子は、すぐにはベッドに乗ろうとはせずに。
熱い視線を向けてくる裕樹を見下ろして、
「ねえ……ママの身体、綺麗?」 片手に大きな乳房を軽く掬い上げるようにして、訊いた。
「う、うん。綺麗だよ、すごく」 もつれる舌で、そう言って、裕樹は力をこめて肯いた。
「エッチな気持ちになる?」
「う、うん」
「そう……」 うっすらと微笑んで。
ベッドに膝をついた佐知子は、そのまま裕樹へと這いよっていく。
重く垂れ下がって、ブランブランと揺れる双乳に裕樹の眼は引きつけられた。
「また、オッパイを見てる」
クスリ、と佐知子は笑って。裕樹の眼前で、わざとプルプルと左右に揺すってみせた。
「…あ…あっ…」 豊かな肉房が踊り弾む景色に、魂を奪われて。
母の、まるで別人のような淫猥さを訝しむ余裕すらなく。
裕樹は、両手で佐知子に抱きついて、無理やりに首を差し伸べて魅惑の肉鞠に、下からむしゃぶりつく。
「あん、いきなり…」
その性急さを責めるような呟きを洩らしながらも、佐知子は下肢を滑らせて横臥で抱き合うかたちをとって、裕樹の無理な体勢を直してやった。
音たてて、乳首に吸いつく裕樹の頭を抱いて、
「あぁ…いいわ、裕樹。もっと吸って」 眼を閉じて、与えられる感覚を味わっていたが。
「……あぁん…」
熱烈なばかりで、なんの技巧もない裕樹の乳吸いに、陶酔の声はすぐに物足りなげな吐息に変わって、
「ね、裕樹、もっと、舌で…」
なんとか思う通りの快感を得るために、裕樹を導こうとするのだが。
大好きなママのオッパイの、天上的な肉感に耽溺する裕樹は、ひたすら乳呑み児のように吸いたてるばかり。
フウッと、佐知子は諦めたように嘆息する。
乳房は、裕樹のしたいようにさせておいて。
佐知子は手を伸ばして、腿にあたっている裕樹の屹立を握りしめた。
「……フアッ、アッ、ア」
ユルユルと扱いてやれば、たちまち裕樹はビクビクと細い腰をわななかせて、オッパイから離した口から、可愛い声を上げた。
「……すごく元気ね。どうしたの? 今日は」
「わ、わかんない、けど」
やたらとに悩ましい囁き声で訊かれても、裕樹にも確たる理由はわからず、
「あっ、ず、ずっと、ママとしてなかった、から、アンッ」
やはり、それくらいしか思い当たらない。
「そんなに、ママとしたかったの?」
「したかった、したかったよっ」
言うまでもない。いくら、母とのセックスを思い出して自分で慰めたって、得られる悦楽は、現実の交わりとは比べものにならなかった……たとえ、その現実のセックスが、どれほど拙く呆気ないものであっても、だ。
そして、それは“ママも同じなんじゃないの?”と、
ペニスへの刺激で痺れかかった頭で、裕樹は考える。
だから今夜は、こんなにエッチになってるんじゃないの、と。
……それは多分に願望を含んだ推測であり。そして完全に間違えているわけだが。
真実には、空白に耐えていたのは自分だけで。母のほうは、逆に荒淫ともいえる日々を送っていたなどとは。
自分とのママゴトみたいなセックスとは次元の違う苛烈で濃密な情事に耽溺して。
メロメロの、色ボケ状態に陥っているなどとは、知りもしない裕樹だから。
そんな幸福な誤解に酔えるのだった。いまは。
「ママの身体、そんなに魅力がある? いやらしいことしたいって、思う?」
やけに熱っぽい口調で。また佐知子は、その問いかけを口にした。
身体をすり寄せて、裕樹の薄い胸に、巨きな乳房を圧しつぶすようにして。
「セックスしたいって思う? ねえ」
「思う、思うよっ」 裕樹でなくとも、この状況では、他に答えようがなかっただろうが。
「そう……」 佐知子は満悦の笑みを浮かべる。
自分の肉体が、若い男の欲望をそそることが出来る、という事実を確認して。
「キス、しましょう?」 嬉しげな、そしてひどく淫らな笑みを浮かべたまま。
ゾクリとするような声で、佐知子は囁いて。裕樹に唇を重ねていった。
柔らかな、母の口唇の感触に陶然とする裕樹。
「……っ!?」
しかし、すぐにヌルリと滑りこんできた舌に、うっとりと閉じかけた眼を見開くことになった。入りこんだママの舌は、裕樹の口中を縦横に動きまわって、粘膜を擽り、怖じる裕樹の舌を絡めとる。
「……フ……ムウ……」
かつてない濃厚な口吻の刺激に、裕樹の意識は白く発光して、佐知子に握られた勃起は、新たな先走りを吹きこぼしながら、ビクビクと脈打った。
ギュッと佐知子のくびれ腰にしがみついて。
しかし、そのくすぐったい刺激と息苦しさ、なにより軟体動物のような母の舌の妖しい感触に、裕樹は長くは耐えられなかった。
「……フッ、ん……ハァッ」
かぶりをふって、母の唇から逃れる。荒いあえぎをついて、呼吸を貪る。
舌は、痺れかかって引き攣っていた。
「あん……」
物足りなげに鼻を鳴らして、追いすがってくる母から、懸命に顔を逸らして、
「ダ、ダメだよ、ママッ、僕…」
「どうして? ママのキス、気持ちよくない?」
「そんなこと、ない、けど……でも、くすぐったくて、息も苦しいし」
「もう……子供なんだから」 呆れたように、佐知子は嘆息して。
「…ここは、気持ちよさそうにピクピクしてたのにね」
オチンチンに絡めた指に力をこめて、擦りあげた。
「アッ、アアッ」
「こんなに、お汁を出して」
「アッあんッ、マ、ママッ」
打てば響く、といったふうに。些細な攻撃にも、過剰なほどに感応する裕樹を眺めて、
「本当に、裕樹は感じやすいのね……」 佐知子は、独り言のように呟いた。
「……ママに、似ちゃったのかな……?」 そう洩らして。瞳がドロリと蕩けた色を強めた。
なすすべなく快美に身悶える息子の姿に、自分を重ねる…そんな倒錯の中に急激に血肉を昂ぶらせて、
「ね、ママも、ママもキモチよくしてっ」
腰にしがみついた裕樹の手を取って、股間へと誘導した。
「ここ、触って、裕樹の指で、キモチよくして」
「う、うん」
やはり常ならぬ積極さに気圧されながら、すでに熱を孕んでほぐれ、トロリと蜜を零している母の秘肉に、おずおずと指を這わせる裕樹。
「アッ、アン、そうよ、もっと」
途端に鼻から抜ける声を洩らす鋭敏さは、佐知子が述懐のとおりに裕樹と通じるものがあって。ヨガリの声音さえ、母と子は、どこか似ているように聞こえたが。
しかし、佐知子の快美の声は、
「……あぁん…そう、そこ…イヤァ、違うの、そうじゃ…」
すぐに、もどかしい感覚を伝えるものに変わって。
「…ああ、ここ、ここよっ、ここをもっと」
拙い裕樹の指に業を煮やして、佐知子は手取りの指導を試みるが、所詮そんなかたちで、佐知子が望むような快感が得られるはずもなく。
「ああっ、違う……ほら、見て、こんなふうに」
さほども時間を経ずに、佐知子自身による愛撫へと移行していった。
「ここを、擦りながら……フッ、あ、こうやって、ね……アンッ」
仰臥して、大股開きの股間に手を差しこんで。あられもない自涜の行為はたちまちのうちに熱を高めて。役立たずな裕樹の手を押しのけるようにして、
「ク、クリをこねて、ヒッアアッ、指、指で中を・・・んあああ」
逐一の解説の通りに、こねくり、掻きむしり、抉りたてた。
裕樹は呆然と母の痴態を見つめた。
「……ママ…」
己の不甲斐なさを恥じる……という感情は持たず。そんな余裕はなく。
いつしか体を起こしていたのも、その淫らな光景を、より見やすいようにとする無意識的な行動だった。
裕樹は息をつめて、自涜にふける母の姿を傍観した。
「ふあっ、いっ、アァッ」 情感をくすぐる声で、佐知子が啼く。
白い肌は血を上せて桃色に色づき、総身にジットリと汗を浮かべて。
股座と乳房、女の象徴する二つの場所に両の手を這わせて。
「ヒッ、アッ、いいっ」
嬌声にまじって、グチュグチュと隠微な音が立つ。菱形を作る肉感的な双肢がビクビクと引き攣る。
しとどに溢れ出した淫蜜が、女肉を掻きまわす指を濡らし、内腿を濡らす。
裕樹の手では引き出すことが出来なかった徴候、夥しい溢出が、この行為から佐知子が得ている快楽の強さを告げていた。
ギュッと強く揉みしぼられる乳房の先端でも大ぶりな乳首がピンピンに尖り立っていた。
「あぁ……いいわ、いいっ」 薄く開いた双眸は、愉悦にけぶり、膜がかって。
見すえる宙空に、何者かの姿を思い描いて。快楽の記憶との密戯に没入する
佐知子の意識からは、すでに傍らの裕樹の存在は消えかかりつつあった。
「……ママッ…」 そのことを、裕樹は明確に悟ったわけではなかったが。
かつて、一度も見たことのない狂乱を晒して。どこまでも快楽にのめりこんでいく母の姿は、それだけでも不安を感じずにはいられなかったし。
それよりなにより、あまりにも凄艶で煽情的で、
「ママ、ママッ、僕、もう我慢できないよっ」
裕樹は片手で痛いほど膨張したペニスを握りしめ、片手を母の膝にかけて揺さぶりながら、切迫した声で訴えた。
「…ん…アッ……えっ」 官能の中に沈んでいた佐知子の反応は、一拍おくれた。
声のほうへと動かした視線には、快楽を邪魔されたことへの苛立ち。
しかし、不粋な邪魔ものが息子だと気づくと-裕樹の存在を思い出すと、
「…あ…そう、そうね…」
我にかえったように、僅かに周章と羞恥の滲んだ声で答えた。
乳房と秘芯から手が外される。少し、未練げに。
のっそりと上体を起き上がらせるとセピア色の肉蕾を硬く尖らせた乳房が重く揺れ弾んだ。
「…………」 一瞬だけ考えて。佐知子はヘッド・ボードへと手を伸ばした。
取り出したコンドームを手に振り向けば、裕樹はペタリと座りこんで待っている。
ビンビンにエレクトしたペニスを握りしめ、昂奮に顔を紅潮させて、それでも従順に待ちうけている。
フッと、佐知子は微笑して。小袋を破って引き出した薄いゴムを、息子の幼い性器へと被せていく。
「……一度、出してるから。少しは長持ちするわよね?」
柔らかな手指の感触に堪えている裕樹の顔を覗きこんで、そう言った。
冗談めかしてはいても、その瞳には、確かに淫靡な期待が浮かんでいる。
しかし、裕樹のほうは、ほとんど上の空で。
侮辱ともいえる佐知子の言葉も、ピンときていなかったし。だから、期待に答えよう
などという意識がおこるわけもない。
裕樹にとってのセックスとは、ただ母の体へと欲望を吐き出すことだったから。
「ママ、はやくっ」 それでも。この期におよんでも、押し倒すようなことはせずに。
佐知子が受け入れの体勢を取るのを、裕樹は待つ。
豊満な裸身が、再び仰臥する。息子へと、白い脚を開き、白い腕を広げて、
「……いらっしゃい……」 静かな声で、招いた。
「ママッ」 それで、ようやく裕樹は、母の体へとかかっていくのである。
いざり寄りながら、握りしめた勃起の先を母の股間へと擬して。
「…あっ…」 ヌチャリ、と。薄いゴムを被った亀頭の先端が、湿った肉弁に触れる。
「ああっ、ママッ」 悲鳴のような声を上げて、叩きつけるように腰を送った。
ヌルリ、と入りこんだ。乱暴で身勝手な侵入にも関わらず、佐知子の女肉は難なく裕樹を呑みこんでいく。
しとどな濡れのせい……にしても、スムーズに過ぎるような結合だったが、裕樹は、その差異にも気づかず。
「…ウッ…ああっ」 ただ、柔らかな肉に包まれる快感に、喘ぎ、慄く。
「…う……ん……」 佐知子が微かな声を洩らす。快美、というには微妙な表情で。
しかし、秘肉は、自然に淫猥な蠕動をみせて。迎えいれた未熟なペニスにからみつく。
「ああ、スゴイ、いつもより、キモチいいよ」 上擦った声で、そう告げて。
しかし、佐知子の肉体の変貌ぶりの理由には思いをいたすことなく。
裕樹はひたすら、これまでにない快感を味わうことに没入していく。
「あ、ちょっ、待って、裕樹」
しがみつく裕樹の軽い体を抱きとめながら、佐知子は困惑の声を上げて、身をよじった。
激しい行為を厭うわけではないが、こんな性急なばかりの単調な動きでは、と。
だが、裕樹は、制止を聞く余裕など、まったく無くしていた。
「ああっ、スゴイ、キモチいいっ」
自分の快感だけを口走りながら、小さな振幅で不器用な挿送を繰り返すばかり。
「…あぁ……もう…」
今宵、何度めになるだろうか。佐知子は、諦めの息をついて。
それでも、汗を浮かべた裕樹の背を優しく抱いて、幼稚で自分勝手な、情交とも呼べないような行為を受容する。
だが、佐知子は、長く耐える必要はなかった。
「ああっ、ママ、僕、もうっ」
一方的に快楽を貪って、裕樹は早々と、切羽つまった声を洩らした。
久しぶりに母と交わったという昂奮と感激。なによりも、裕樹の預かり知らぬところで練りこまれた佐知子の媚肉の美味に、すでに一度欲望を放っていたことも、ほとんど意味を持たなかった。
「……もうダメなの?」 わずかに苦い感情をこめて、佐知子は訊いた。
母親として、息子の脆弱さを情けなく感じたのだった。
“彼”…いつも不死身の逞しさで、年上女の自分に死ぬような思いを味あわせる若い情人と比べても無意味なことはわかっているが。
それにしても……同じ年の男でありながら、この違いは、と。
「ダ、ダメ、出ちゃう、出ちゃうよっ」
しかし、裕樹が本当に限界に近づいていることは、佐知子の中にあって頼りない存在感を主張するペニスの脈動からも明らかだったし。
無理な忍耐を強いて、少しくらい行為を引き伸ばしたところで、佐知子には快楽など訪れないことも解りきっていたので。
「…いいのよ。出しなさい」 簡単に、事務的とも聞こえる口調で、佐知子は許した。
「ああっ、ママッ」 甲高く叫んで。裕樹は爆ぜた。
「……ん…」
佐知子は眼を閉じて、その刹那の感覚を味わう。ビクビクと痙攣する裕樹の身体を抱きしめれば、いつものように、我が子に思いを遂げさせたことへの満足は感じたが。
(……やっぱり、違う……) と、その爆発の勢いをも、つい比較してしまうせいか。
グッタリと脱力した裕樹の汗に湿った髪に、優しく指を通しながらも。
胸にわく充足の思いは、薄いものだった。
……余韻の中での抱擁もそこそこに、佐知子が身体の上から裕樹を押しのけるのは、いつもの通り。
佐知子の中から抜け出る裕樹のペニスから、精を溜めたコンドームを外して。
すでに縮こまった小さなチンチンを清める手つきも、いつものように優しいものだったが。
「………………」
後始末を終えて。虚脱して横たわる裕樹を、少し複雑な表情で佐知子は眺めた。
やはり、今夜は二度も欲望を果たしたせいか、疲れたようすの裕樹は、早くもまどろみかかっている。
「……もう…」 そう呟いて。しかし、佐知子は表情を和らげた。
(こんなものよね)
母子の閨で、裕樹が性急で自分勝手なのも、情交が呆気なく終わるのも、毎度のことだったではないか、と。
微苦笑を浮かべて、自分を納得させる。
手を伸ばして、そっと裕樹の頬を撫でた。
上掛けを引いて、裸の身体を覆ってやる。しかし、常のように、裕樹の隣りに身を横たえはせずに。佐知子は、静かにベッドから降りた。
床に落ちたバス・タオルを拾い上げて、ドアへと向かった。
……裕樹との行為に、求めるべきではない肉体の快楽を求めてしまったのは。
やはり、今日は達也に抱いてもらえなかったからだろうと考える。
本当に……自分は、達也なしではいられなくなっているということか。
そう思うと、恥ずかしくて。だが、奇妙な喜びもわいて。
明日は、と。期待に胸を熱くする。今日の分も、と。
冷えていた身体にも、ジンワリと熱が戻る。
その待ち遠しい明日のために、佐知子は、もう一度浴室へと向かう。
思いがけない裕樹の襲来で中途になっていたから。
達也に抱いてもらう身体を清め磨きあげる日課を果たすために。
タオルは手に、裸の乳房と臀を揺らして。
ドアを開けて。一度室内を振りかえる。
裕樹は、完全に眠りに入っている。それをただ確認して。
佐知子は灯りを小さくして、部屋を出た。静かに閉ざされたドアの向こうで気配が遠ざかっていった。
……ひとり残されて。
心地よい疲れと満足のうちに、裕樹は眠っている。母のベッドで。
小さく寝返りをうって。手がシーツの上を滑った。そこにあるはずの温もりを求めて。
だが、その手は、求めるものを見つけられない。
「……ん…ママ……」
わずかにムズがるように呟いて。だが、裕樹は目覚めることなく。
しばし、虚しくさ迷った手も、やがて動きを止めた。
ママのベッドで、ママの匂いに包まれて。
安息の中、裕樹は眠っていた。
-20-
……白衣が、ベッドの上に置かれている。
畳んだり、丸めたりせずに。袖もスカート部分も伸ばして。
その上に、二枚の下着、ブラジャーとショーツが乗せられている。
置き方に明確な意図があって。ブラは、白衣の胸元に、大きなサイズのカップをキチンと並べて。ショーツは、当然、腰のあたりにあてがわれている。
そんな形で展示されると、ことさらに際立つ。その組み合わせの不都合さが。
シルクの艶やかな光沢が、いかにも高級そうな、揃いの下着の色は、鮮やかな、ドギついほどの赤だった。それだけでも、その下に敷き置かれている
薄手の白衣-ナースの制服の下に着けるべきものではないのだが。
そのデザインもまた、瀟洒と形容するには煽情的にすぎるものだった。
ブラはハーフ・カップ、ショーツはTバック。その極端な表面積の少なさでは、乳房は半ば以上が露わになるだろう。臀は剥き出しに。
わずかな布地にしても、ほとんどがレース仕様で乳首や恥毛を隠す役には立ちそうもない。
とにかく、清潔な白衣の下に着けるには、まったく不適切としか言いようがないのだが。
……まあ、今さらだろうか。そんな猥褻な装いが白衣から透けてしまうことも。
ベッド上に並べられた、それらの衣装の所有者である彼女、主任看護婦・越野佐知子の下着の趣味が最近変わったことは(その理由も含めて)病院内部では知れ渡っていたから。
佐知子にしても、周囲から向けられる冷眼や嘲笑に対して、苦痛や羞恥を感じる意識は麻痺しつつあった。
だから、今さっき脱いだ自分の着衣を眺める佐知子が、頬を赤く染めて、軽く唇を噛むようにしているのも、これ見よがしに並べられた白衣と下着のコントラストのせいではなかった。ナースの誇りであるべき純白の衣を、自ら冒涜するような己の破廉恥さ、堕落ぶりを省みて恥辱を噛み締めているわけではないのだった。
佐知子が居たたまれないような羞恥の色を見せているのは、もっと単純で直截な理由からだった。
白衣も下着も脱いでいる、ということは……佐知子は、ほとんど裸になっている。
全裸に近い姿を晒していることが、佐知子は恥ずかしかったのだ。
それこそ……今さらな話のようだが。“今さら、なにを”と。
しかし、佐知子は本気で恥じ入っているのだった。
いま佐知子が身につけているのは、ナース・キャップとシューズの他にはストッキングだけだった。ストッキングはサスペンダー・タイプのもので(無論、これも達也の指示によって、普通のパンストから切り替えた)股座は大きく開いている。胸も股間も剥き出しにして、佐知子はベッドから少し離れた位置に佇んでいた。肩をすぼめ、両腕で我が身を抱くようにして。
半ばまで白いストッキングに覆われた太腿をモジモジと擦り寄せて。
……率直に言えば、乳房や臀を達也の眼に晒すことには、もうさほどの羞恥も感じなくなっている佐知子であった。
だが、下着は(せっかく、達也好みの淫らなものを着けていながら)脱いでいる時間のほうが長いような、この病室での生活であっても。こんなふうに、白衣を完全に脱いでしまうことは、これまでになかった。
全身を露わにして、身体の線を見せていることが、佐知子に不安まじりの羞恥を感じさせているのだった。それは、佐知子の年齢、達也との年の差からくる感情だった。中年の女の崩れた体のラインを、若い達也の注視に晒すことに居たたまれないような恥ずかしさと焦燥をわかせずにはいられないのだ。
体の前で組み合わせた腕が、股間の濃い繁茂よりも、わずかに脂肪をのせた下腹を隠したい心理を覗かせていた。
無言で見つめてくる達也の方を見ることが出来ずに。ベッドの足側に陳列された白衣と下着を眺めていたのは、単に視線のやり場を求めただけのことだった。
沈黙の長さが、佐知子の焦燥と不安を煽る。
眼を逸らしていても、全身に突き刺さる達也の視線の熱さは感じられた。
「……そんなに、見ないで…」
堪えきれず、横顔を向けたままで、佐知子は呟いた。気弱く。
しかし、達也からの応えは、なにもなくて。
佐知子は、泣きたくなる。不安で不安で。
どこか、自分の身体に気に入らないところを見つけられたのではないか、とか。
やはり、年増の崩れた体に幻滅されたのではないか、とか。
そんな恐れに苛まれながら、それでも佐知子は立ち続ける。
ベッドから少し離れた、達也が全身を眺めるのに適当な立ち位置というのも佐知子には辛かったが。そこから動こうとはしない。
その姿で、その場所に立て、と命じられた(あくまでも達也の態度は柔らかくて、お願い、というかたちではあったが)から。
従順に、それを守って。達也の次の指示を待つ。
早く、と願いながら待つ。早く抱きよせて、可愛がってほしい、と願いながら。
昨日は、一日お預けをくわされた。それがゆえに応じることが出来た
裕樹との交わりは、佐知子の欲求をくすぐっただけだった。
だから、今日はいつも以上の期待を胸に、この部屋へやって来たのだ。
だから、朝の挨拶もそこそこに、脱ぐように命じられたことも嬉しかった。
いつものように半脱ぎではなくて、白衣まで脱げという指示は辛かったが。
それでも躊躇は見せずに、手は動いた。
いまも辛さに耐えている。自分の年齢への負い目は消しようがないが、
どうすれば、一時的にも、その不安と焦燥を払えるのかは、わかっている。
達也に愛してもらうこと。抱きしめられて、キスされて、優しく囁かれて。
この世ならぬ快楽の境に身も心も飛ばしてもらうのだ。
それだけが、この苦しさから自分を救ってくれることだと知っているから、佐知子は慫慂として待っているのだが。
……達也は、沈黙を守り続ける。
「……達也…くん……?」
いやます心の不安に、肉の焦燥も加わって。ついに佐知子は、おずおずと達也へと視線を向けた。
やはり、達也は佐知子を注視していたが。
「……っ!?」 いつにない冷酷な眼の光に、佐知子は息をのむ。
…が、それは、一瞬のことで。すぐに達也は眼光を和らげて、
「……おいでよ、佐知子さん」 手を差し伸べて、いつものように柔らかな声で呼んだ。
途端に、佐知子の硬直も溶けて。
飛び立つようにして、達也へと近寄っていく。裸の乳と臀を揺らして。
……その忠実な飼い犬のごとき態度は、昨夜の佐知子の寝室での裕樹のそれとも、どこか似通っていた。
子犬の母は、やはり犬ということか。
そして、母犬は子犬をかまう時よりも、はるかに強い喜びを見せて、激しく尻尾を振りたてながら、はせ参じるのだ。飼い主のもとへと。
……喜ぶことに夢中で。
また、飼い主の眼が、なにかを探り出そうとするような冷徹な輝きを湛えていたことには気づかずに。
「あぁ…こんな…」 消え入りたげな声で、佐知子が羞恥を訴える。
つき放すような距離を置いて、裸身の全体像を鑑賞されるという状況からは解放されて。しかし、次に達也が指示した行為は、佐知子をさらなる恥辱に悶えさせるものだった。
「…恥ずかしい……」
また、泣くような声を洩らして。佐知子の裸の臀が、キュッとしこった。
白い尻朶に、ストッキングの細いサスペンダー部分を食いこませただけの巨きな臀は、達也の眼前に晒されているのだった。
仰向けに寝た達也を、逆向きに跨ぐかたち。すなわち、相舐めとかシックス・ナインとか呼ばれる体勢である。
「フフ、丸見えだよ。佐知子さんの、いやらしいオマ○コ」
「いやぁっ」 からかうような達也の言葉は、まったく、その通りであるに違いなく。
達也の息を、秘めやかな部分に感じたような気さえして、佐知子は四つん這いの豊満ら肢体をブルルと震わせ、紅く染まった首をうちふった。
「あぁ……見ないで、達也くん」
「そんなこと言ったって」 せん無き願いを、達也は笑って、
「こんな、目の前に差し出されたら、見るも見ないもないじゃない。僕の視界は、佐知子さんのデカ尻とオマ○コに占領されちゃってるんだから」
「ああ、いやぁ……」 恥辱の嘆声とともに、また達也の眼前にもたげられた豊臀がくねる。
しかし、その揺動は、達也の視線を遮るほどのものではなかった。
この淫らな体勢にしたって。確かに指示したのは達也だが。
佐知子も激しい羞恥の感情は見せながらも、抵抗はせずに従ったのである。
自信のない体のラインを冷静な眼で観察さている状態から逃れたいという思いもあったが。
達也の言葉に従ってさえいれば。どんな思いがけぬ行為も、恥辱や情けなさを感じる姿態も、すべてが、自分が未だ知らぬ悦楽へと繋がっていくのだという、絶対的な信頼が佐知子の中に出来上がっていたのだった。
だから、
「こうやって、あらためて眺めると……本当に、いやらしいな。佐知子さんの、ここは」
「あぁん、やん、いやぁ」
嬲る達也の言葉に、佐知子が辛そうに啼いて巨臀をふる、そんな遣り取りも、どこかデキ芝居のような、阿吽の呼吸といったものが通じている。
時に、残酷な無慈悲なまでの言葉責めでいたぶってくる達也のやり方にも佐知子は馴染まされて。それを快楽の前菜として受け止める意識すら、培わされていた。
達也の流儀に、達也の好みに、染められていく自分に、
この上ない喜びを感じながら。佐知子はすべてを受け容れようとする。
やはり、その関係のありようは“主従”であろう。犬と飼い主。
「それにやっぱり毛深いよね。ケツ穴のまわりまで毛がボーボーだって自分で知ってた?」
「やあぁ、ひどいわ」
顔を真っ赤にして、恥辱に震えてみたって。ひどいと責める声はどこか甘ったるい。
甘い言葉と快楽で手なずけられた熟れた雌犬には、主から与えられるなら恥辱でさえ嬉しくて。また、フルフルと白くてデカい臀をふる。尻尾をふる。
いっそ、“クウ~ン”とでも鳴いたほうが似合いのようだったが。
しかし、客観的には、すでに達也の犬に堕していると見える佐知子だが。
本人には、まだそこまでの自覚はない。
支配する達也、支配される自分、という関係性は理解して受容していても。
あくまでも、それは恋人同士としてのものだと、この狂い咲きの恋に酔っぱらった愚かな中年女は信じているのだった。
無論、その馬鹿げた思いこみは、達也によって植えつけられ助長されたものだ。
そうして達也は、、偽りの愛の言葉に逆上せあがりトチ狂う、母親ほども年上の女の醜態を楽しんできたわけだが。
今日を契機として。
ふたりの関係を、より真実に近いかたちに修正しようと、達也が目論んでいることを、佐知子は、まだ知らない。
「達也くんだけよ?達也くんだから、こんな恥ずかしい姿を見せるのよ」
切なげに、甘えかかるるように佐知子が訴える。それもまた、お定まりの言上だったが。
「……本当かな」
「…え?」
返ってきた言葉は期待していたものとは違っていて。佐知子は四つん這いの姿勢から首を振り向けた。自分の臀に隠れて、達也の顔は見えない。
「濡れてるね、佐知子さん」 佐知子の当惑には構わず、達也が言った。
「まだ触れてもいないのに。裸を見られて、オマ○コをアップで見られて。それだけで感じちゃってるんだ?」
「いやぁ……恥ずかしい…」
「恥ずかしいと濡らしちゃうんだ。ホント、淫乱な女だなあ」
「あぁ……あなたが、達也くんが、私をこんなにしたのよ」
いつもより辛辣な毒気に満ちた、情感を煽る戯れからはハミ出したような達也の科白に、ビリビリと背筋を痺れさせながら。佐知子はやはりお決まりの甘い恨み言を返したのだが。
「そうなのかな?」 達也は、素気ない呟きで、また微妙にお約束をハズす。
「……達也くん…?」 しかし、その変調に、佐知子が不安げな声を上げれば、
「僕も脱がせてよ。佐知子さん」
それもまた、ハグらかして、淫らな戯れへと軌道を戻すのだった。
「パジャマだけで、いいからね」
「え、ええ…」
どうも調子を狂わされながら。佐知子は言われるがままに、達也のパジャマのズボンに手を掛けて、膝のあたりまで脱がせた。
ちなみに、退院を間近にした達也の左足のギブスは、小さく薄いものに変わっていた。
厚手の包帯くらいのもので、行動にもほとんど支障はなくなっている。
いまだ達也は、都合に合わせて、不自由な怪我人ぶったりするけれども。
とにかくも、パジャマを膝の位置までたくし上げて。
達也の引き締まった腿とビキニ・タイプの黒い下着に覆われた股間を目の当たりにすれば、
「……あぁ…」
佐知子の唇からは、うっとりとした息が洩れて。達也の態度に感じた違和感など霧消してしまう。モッコリとした盛り上がりを両側から包むように手を触れさせて。指の腹で、布地越しに達也のかたちをなぞっていく。
まだ力を得ていない達也の肉体は、それでも充分な量感と逞しさを手指に伝えて。
佐知子はまた熱い息をついて。ゆっくりと身体を沈めて顔を達也の股間へと寄せていった。
パジャマだけを脱がせた達也の意図は了解していたし。そうでなくとも達也の男根、大好きな巨きなチ○ポの感触と、ムンと強く立ち昇る雄の臭いにそうせずにはいられなかった。
「……ハアァ…」 モッコリとした隆起に鼻先を押しあてて、深く深く臭気を吸いこんだ。
直接嗅ぐ若い牡の濃い性臭は、佐知子の脳を揺さぶって、
「…あぁ……達也くんの…匂い…」
恍惚として、佐知子は呟いて。クンクンと鼻を鳴かせて、そのこよなき芳香を貪った。
両手が忙しなく蠢きはじめる。薄い布地の上から、達也のフグリを柔らかく掴みしめ、太い茎を押し揉むようにした。
熱のこもったまさぐりに応えて、下着の中の肉塊がムクムクと体積をと硬度を増すと、
「……アハァ…」
佐知子はもう辛抱たまらずに、唇を押しつけていった。細首をふり、顔を傾げて、ブチュブチュと、一面にキスの雨を降らせていく。黒い下着だから目立たなかったが、達也のブリーフにはベットリとルージュの紅い色がなすりつけられた。
さらに勢いを強めて、下着を突き上げる達也の肉体が、佐知子をますます夢中にさせて。
アフンアフン、と悩ましい息を鼻から零しながら、伸ばした舌を、ブリーフにクッキリと浮かび上がった達也の剛直に這わせた。太い胴部を、ベロベロと大きく舐めずり、チロチロと肉傘の付け根をくすぐった。
四つん這いの豊満な肢体からは、汗と女蜜が臭い出している。
時折、ブルリとくびれた腰が震えるたびに、もたげられた臀の深い切れ間には、ぬめった輝きが増して。ひときわ強い淫臭が漂う。
その昂ぶりは、佐知子が勝手に兆したものだ。愛しくてたまらない牡肉に触れて、その香を嗅いで、その熱を感じて。それだけで、これまで味わった凄絶な快楽を蘇らせ、この後のそれに期待して、血肉を滾らせているのだ。
淫らな熱を孕んだ佐知子の肉体には、いまだ愛撫の手は与えられていない。
達也は、頭の下に両手を組んで。胸の上に掲げられた巨大な臀を、ただ眺めていた。
ジットリと汗を滲ませた白い熟れ臀が、物欲しげに揺すりたてられるのにも冷徹な眼を向けるだけで、なんのアクションも起こそうとはしない。
「……あぁん…」
焦れた声を上げて、佐知子は意識的に腰をくねらせ、プリプリと臀をふってみせる。
だが、懸命な媚態にも、達也は指一本与えてくれない。
また焦らすのかと、やるせない思いに身悶えながらも。すでに、その切なさを快楽のプロセスとして味わうことも教えこまれている佐知子は、
「ねえ、おしゃぶりしていい?直接、舐めていい?」
達也の巨大な膨らみを下着の上から撫でまわしながら、訊いた。わざわざ許可を求めるのも、達也に躾けられたことだ。連日の愛欲のレッスン、物覚えもよく学習熱心な佐知子は、優秀な生徒だといえた。
「うーん?僕は、このままでもキモチいいけどね」
「やぁ、いいでしょう?おねがい、達也くぅん」
「そんなに、生のチ○ポ、しゃぶりたい?」
「したい、おしゃぶりしたい、オチンチン、生の…チ○ポ」
自ら口にした卑猥な言葉に、いっそう昂奮を煽られて。
「ね、いいでしょ? いいわよね」
我慢できなくなった佐知子は、達也のブリーフに指をかけた。大きな屹立に突っ張った下着を脱がせる手の動きも慣れたものだった。
ブルン、と。解放された怒張が強靭なバネで勃ち上がる。
「……あぁ…」 熱い息をついて。佐知子は、トロけた眼で、その威容を見つめた。
毎日、目にしていようと、そうせずにはいられない。
「すごいわ、今日も…」
惚れぼれと呟かずにはいられず、握りしめた逞しい牡肉に唇を寄せずにはいられない。
手指に伝わる脈動に、口唇に感じた肉感に、恍惚として、
「好き、好きよ」
うわ言のように繰り返しながら、口づけを捧げ、舌を這わせずにはいられなかった。
「……しょうがないなあ」
呆れたように達也は言って。それだけで、佐知子の先走った行動を赦した。
“ま、いまのうちは”と。
欲しかった“生チ○ポ”を口舌に味わって、ますます劣情を強める佐知子は、いっぱいに広げた唇を、巨大な肉冠に被せて、ジュポジュポと唾の音を鳴らしながら、激しく顔を上下させていた。
熱烈な行為の中で発揮される口舌の技巧は、連日の修練の甲斐があって、長足の進歩を遂げている。
巨大な肉塊に口腔を満たされ喉を突かれる苦しさにも耐えて、咥えこんだモノの太い胴回りに、舌を絡め蠢かせる。
うっとりと眉を開いて、血の色にけぶらせた恍惚の表情や怒張の根を握りしめた指には、“これが好きでスキでたまらない”といった気ぶりが滲み出ている。
この体勢では、達也には、佐知子の淫らな面や狂熱的なフェラチオの行為を直接見ることは出来ないが。もっと端的に佐知子の耽溺と欲情ぶりをあらわす部分は目の前にあった。
クナクナとふりたくられる巨臀の中心、暗い肉裂の底は、汗と淫蜜にベトベトに濡れて、妖しい香を放って、達也を誘っている。
しかし、達也はまだ動こうとしない。
佐知子の口淫に、それなりの快感を得ていることは、さらに漲りと硬度を増した肉根から見てとれたが。達也のほうからは、見返りを与えようとしない。
佐知子の焦れったげな身悶えが強まりムズがるような啼きが高まるのも平然と受け流して。
どんどん卑猥にあからさまになっていくデカ尻の淫舞も、冷ややかに眺めて。
達也が思案するのは、この後の佐知子への“尋問”についてだった。
市村が持ち出した、佐知子の、息子との相姦疑惑。
達也とすれば、半信半疑である。
それはないだろう、と思うのは、出会った頃の佐知子の印象と、実際に味わった
肉の感触から。しかし、それだけで片づける気にならなかったのは、言い出したのが市村だったからだ。
根拠はほとんどないと断りながら、わざわざ疑惑を呈したのは、なにがしか市村の直感には訴えかけるものがあったのだろうし。
この腹心とも呼べる友人の、奇妙な勘の良さというか、他人の秘密への嗅覚を達也は信用しているのだった。
『……でも、確かめるって、どうすんの?』
『訊くさ』
『や、簡単に言うけどさ。もし、市やんの推測通りだったら、越野ママだって、おいそれとは白状しないでしょう』
『…達也に任せときゃいいよ、高本』
そんな昨日の会話のとおり、事実の確認には、達也は困難を感じていなかった。
確かに、母子相姦が事実ならば、佐知子にしても絶対に隠し通そうとするだろうが。
それなら、素直になんでも喋りたくなるように、してやればいいだけのこと。
朝飯前というやつだ。達也にすれば。
「……あぁん、ねえ」
果たして。一向に手を伸ばしてくれない達也に、佐知子はむしゃぶりついていた
デカマラから口を離して、切なげな声で呼びかけた。
「達也くんも、して」
グッと、四つに這った腰つきに思い入れをこめて。淫蜜に濡れた秘裂を差し出して。
「さわって、気持ちよくして、ねぇ」
張りつめた達也の肉傘にペロペロと舌を這わせながら、愛撫を求める。
「こんな、見てるだけなんてイヤよ、ねえ、達也くぅん」
こんな恥ずかしい姿態まで晒しているのに、と不満に鼻を鳴らす。
「……本当に、淫乱だなあ」 呆れたように達也は言って。頭に下から両手を抜いた。
グッと、物欲しげにくねっている佐知子の双臀を掴んだ。
「ああぁんっ」
ようやく達也に触れられて、佐知子が嬉しげに啼くのを聞きながら、タップリとした熟れ肉を、大きく左右に開く。
「あぁ……いやぁ」
「グッショリだ。臭いもひどいや」 冷淡に表して、さらに佐知子の恥辱をあおる。
「マ○コ見せつけて、チ○ポしゃぶっただけで、こんなになっちゃうんだ。ホントにいやらしいね、佐知子さんって」
「や、いやぁ」
やはり、いつに増して達也は残酷であるようだった。酷い言葉に胸を刺されて泣くような声を洩らしながら、しかし佐知子の身悶えには喜悦が滲む。
やっと達也が攻撃を開始してくれる、と。
しかし、達也の行動は、佐知子の予想以上だった。
「少し、キレイにしてあげる」
「……えっ? ……ひあっ!?」 剥き出しの秘裂に息吹を感じた、その次の瞬間、
「アヒイイイイッ」
鮮烈すぎる感覚に、佐知子は甲高い悲鳴を迸らせて顎を跳ね上げていた。
濡れそぼる秘唇に達也が吸いついたのだった。
「ヒッ、あ、達也、くんっ、ダメ、そん、な…アアアッ」
達也の口唇をそこに受けるのは、はじめてだった。亡夫や裕樹にも許したことのない行為には、強い羞恥と抵抗感がわいて、
「ダ、ダメよっ、そんな、汚い、から」
ビリビリと突き上がる鋭すぎる刺激に耐えながら、必死に達也を制止するも、ガッシリと掴まれた臀を逃がすことは出来ずに。
音たてて女蜜を吸いあげられ、充血した肉弁を噛まれ、戦慄く肉孔を舌でなぞられれば、
「ヒイイッ、あひっ、ひっああっ」
やはり魔術じみた達也の口舌の技巧に、抵抗の意識は瞬く間にこそげ取られて。
ただヨガリの声にヒッヒッと喉を鳴らして、四つん這いの肢体をブルブルと震わすばかり。
女の源泉に男の舌を受ける。快楽を凝集した地帯を柔らかで縦横な肉ベラで嬲られる。
「ひっ、アッ、舐められてる、私の、あそこ、達也くんに、舐められてるぅっ」
佐知子は、引っ切り無しの裏返った叫びで、その強すぎる感覚を訴えた。
「やっ、スゴ、すごい、舌が、ひいいっ」
四肢からは力が抜けて、達也の上に重い身体を圧し掛からせる。
乳房を達也の下腹に押し潰して、しがみつくように握りしめた巨大な屹立の横で、狂おしく頭を打ち振りながら。
「や、ダメ、こんなっ」
それでも、泣き喚く声からは忌避の色は消えうせていたのだけれども。
そこで唐突に、達也は佐知子の秘唇から口を離して、
「オマ○コ、舐められるのはイヤ?やめる?」
そう尋ねた口元は、佐知子の淫汁に汚れていたが。
たった今までの行為の熱烈さに反して、表情は冷静だった。
実際、達也は、熟れた女肉の味わいを堪能していたわけではない。
“尋問”のために、いつもとは変わった方法で佐知子を攻めてみただけだ。
「…あ…あぁ…ハァ……」
苛烈な口撃を中断されて、佐知子は汗に濡れた背を波打たせながら、うつつな声を洩らしている。
達也の口舌は離れたのに、秘唇からはジンジンとした疼きが伝わって、腰を痺れさせる。
余韻の中で、ようやく、あの強烈な感覚が快感であったのだと判別して、
「イヤなら、やめるけど?」
「あぁ、イヤッ」 重ねて訊いた達也に、佐知子は慌てて答えた。
「やめないで、続けてっ」
「続けてほしいんだ。オマ○コ舐められるの、気に入った?」
忙しなく、佐知子はうなずいて、
「舐めてっ、オ、オマ○コ、もっと」
「いいけどね」
尊大に達也は答える。発情した年増女の肉の味と臭気は、濃厚すぎて胸がやけるが。
それが目的に適うなら、厭いはしない。
「でも、このままじゃ、このデカ尻に潰されちゃいそうだから」
…と、いうよりも。いつまでも女の尻の下になっている状態を続けることに我慢がならなかったのだろうが。
達也は、佐知子の双臀を掴みしめたまま、上体を起こす。
「あっ、イヤ、こんな…」
佐知子は強制的に膝を伸ばされて。座位になった達也の顔の高さまで臀を掲げさせられた。
「いやよっ、達也く……ヒアアアッ」
あまりにも破廉恥なポーズに抗議する声も、ペロリと舐めとられてしまう。
「アッ、ひ、ああっ、スゴッ、感じるぅ」
たちまち佐知子は、強いられた姿態の恥ずかしさも忘れて、嬌声を張り上げた。
ひたすら佐知子の官能を炙ることだけを企図する達也の舌の捌きは、
無慈悲なほどに冷静で的確で。
「ヒイイッ、痺れる、オマ○コ、シビレちゃう」
すでに肉体の泣きどころを知悉された達也に冷酷なまでの技巧をこらされれば、その凄まじい快楽に、佐知子が抗えるはずもなく。感泣とともに痴語を吐きちらし、あるいはギリギリと歯を食いしばって。
高々と巨大な臀を掲げて二つに折った身体をガクガクと震わせ、バサバサと髪をふり乱す。
「ああっ、イイッ、いいの、キモチいいっ」
もっともっと、と。燃え盛る秘裂を達也へと押しつけながら、自分からも握りしめた肉根へ舌を這わせて快楽を返そうとするが、長くは続けられずに。
クンニの快感に翻弄されるまま、滅茶苦茶に扱きたてるのが、せいぜいだった。
「あっ、そこ、イイッ、そこそこっ」
特に、プックリと尖り立った肉芽を玩弄され吸われれば強烈な電流が背筋を駆け上がった。
「あっ、ダメダメ、ダメッ」
はや絶頂の気配を伝えて、嬌声は小刻みになり、高く澄みとおっていく。
しかし、追い上げる舌は、目眩むエクスタシーの寸前でスルリと逃げた。
「あぁ……」
安堵と失望の混じりあった複雑な吐息を、佐知子は震える唇から洩らした。
……だが、そんな寸止めを何度も何度も繰り返されれば。
「…ああぁ、イヤッ、いやぁ」
佐知子の上げる声は、ただただ生殺しの苦悶を訴えて絶頂を求めるものに変わっていった。
「ああッ、いきそ、イっちゃ、イカせて、いかせてぇっ」
また、達也の舌が集中的に女芯を嬲り、佐知子を追い上げる。
「ヒッ、あっ、おねがい、今度は」
今度こそ、と必死な思い入れで佐知子は腰を揺すり、目前の絶頂を掴みとろうとする。
しかし。
「ああっ、いやああっ」
絶息の際まで佐知子の快感を追いこみながら、今度もトドメは与えずに達也の舌は離れ、佐知子に悲痛なうめきを絞らせた。
さらに達也は、かき分けた分厚い臀肉の狭間に突っこむようにしていた顔を反らして、
「……いくら、舐めてもキレイにならないじゃないか」
当然ともいえる佐知子の肉の反応に呆れてみせると、双臀から手を放してしまった。
両脚の力を失って、達也の膂力だけに臀を持ち上げられていた佐知子は、前のめりに崩れおちた。達也の脚の上に突っ伏して、
「…あぁ、達也くぅん……」
わずかに首を後ろにねじって、焦燥と媚びに満ちた声で呼びながら、達也の両腿を跨いだ巨臀だけをムックリともたげた。
「おねがい、おねがい」 すすり泣くような声で繰り返して、ユラユラとデカ尻を揺らした。
その中心に露わになって物欲しげに戦慄く発情マ○コに、達也は無造作に指を挿しこんだ。
「ヒイイッ……あっあっ」
「そんなにイキたいの?」
喜び勇んで指を食い締める貪婪な女肉を、ユルユルと擦りたてながら、訊いた。
「あっ、そう、イ、イキたい、いきたいの、イかせてっ」
「指や舌で、いいの?」
「んん…あっ……え、えっ…?」
もどかしい刺激を、少しでもよく感じとろうと閉じていた眼を開いて、佐知子は振り向く。
「どうせ、指や舌でイったって。すぐに、チ○ポが欲しくなるんでしょ?」
冷笑含みの、嬲るような言いぐさではあっても。達也の側から、より先の行為を言い出すのは珍しいことであり。
無論、佐知子に異存のあろうはずがない。
「ああ……してっ、してぇっ」
滾った声で叫んで、脱力していた腕を踏んばって、身体をもたげた。
「セックスして、達也くんのオチンチン、入れてぇっ」
達也の舌に秘肉を舐められる快感は素晴らしかったし、達也の指で、その残酷なまでの巧緻に嬲られて狂うのもいい。
でも、オチンチンには、本物の交わりには敵わない。
太くて長くて硬いペニスに貫かれて、ヴァギナいっぱいに達也の逞しさを感じて。
重く突き上げられ、襞肉を擦りたてられる快感とは比べようもない。
何度も何度も、死のような快楽を味あわされた末に若い欲望を注ぎこまれて。
血肉にまで達也を沁みこませていくように感じる、あの瞬間以上の法悦など存在しない。
「ねえ、入れていい? オチンチン、入れてもいい?」
佐知子は伏せていた体を起こして、後ろに回した手で達也の股間の屹立を掴もうとする。
これまでの習慣から、自分から達也に跨るかたちで繋がろうと考えたのだったが。
達也は、佐知子の背を押し返しながら、尻を後ろに滑らせて、佐知子の下から身体を抜き出した。その動きには、やはり怪我人らしい不自由さは、ほとんどない。
「あぁっ」
膝立ちになった達也に、再び臀を抱えられて。佐知子は、このまま繋がろうとする達也の意図を悟った。四つん這いで後ろからというスタイルには、
“まるで、動物みたいに……”と羞恥を刺激されても、忌避や抵抗を感じるには情欲の昂ぶりが強過ぎた。
「ああぁっ、来てっ、達也くん」
佐知子は自分からもグッと臀をもたげて、気張った声で求めた。
熱い肉鉄の矛先が、臀肌に触れる。佐知子は、ハァと燃えるような息を吐いて、ブルリと腰を震わした。
はじめて達也のほうから姦してもらえる……その思いが、胸を焦がして。
佐知子は両手両膝で這った艶美な肢体に気合を滲ませてその瞬間の歓喜と愉悦に身構える。
……しかし。
従順に熟れた豊臀を差し出して、期待に打ち震える佐知子を、冷淡な眼で見下ろす達也は。
無論、このまま素直に、佐知子の期待に応じてやるつもりなどなかった。
下準備を終えて。いよいよ、詮議を開始しようというわけだ。
(さあて……)
舌なめずりするような表情。その眼には、佐知子を篭絡して以降は絶えていた、奸智の色が浮かび、口元は邪悪な悦びに歪んでいる。

Last Update : 2008年12月04日 (木) 7:46